チュウBメルマガ VOL.210-1

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◆◇◆平成27年度中国地方BBS会員研修会(その1)◆◇◆
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7月11(土)~12日(日)、鳥取市の鳥取砂丘が見える会場で、53回目となる、平成27年度中国地方BBS会員研修会(主催:中国地方BBS連盟,鳥取県BBS連盟)を行いました。
5県から約80名の会員が集まり、研修会としては近年にない大規模なものとなりました。日本BBS連盟から戸田信久会長がお越しになり、鳥取県保護司会連合会の前田義機会長(中国地方保護司連盟会長)には、最初から最後までご一緒いただきました。

◆研修① 「児童虐待の現状」について

講師:鳥取県福祉相談センター所長 花川治応さん
(県福祉相談センターは、「県中央児童相談所」と「県婦人相談所」を統合した機関)

 

~児童問題の変遷~ 社会構造(働き方)の変化に伴い家族の問題も変化

昭和20年代:戦後処理(戦災孤児・非行児対策)
昭和30~40年代:在宅障害児対策(検診精密検査・施設入所)
昭和50~60年代:不登校・校内暴力(学校での問題)
平成10年代以降:児童虐待と発達障害
平成20年代以降:社会的養護(離婚・DV・性被害)

※DV(domestic violence)とは、一般的には「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」という意味。
(内閣府男女共同参画局ホームページより)

◎児童相談所での相談対応件数の推移(全国)

平成16年度:(i)351,838 (ii)33,408
平成25年度:(i)391,997 (ii)73,802
(i):全相談件数,(ii):全件数の内、虐待相談件数

平成16年度と25年度を比べると、全相談件数は約4万件増に対し、虐待相談については、件数が倍以上になり、約4万件増になっている。

 

◎児童相談所での虐待相談の内容

全体的(身体的虐待,性的虐待,ネグレクト,心理的虐待)に増えているが、心理的虐待の相談が顕著に増えている。

<心理的虐待について>
・「お前はダメだ!」や、母親から「お前なんて産むんじゃなかった」など言われる。
・夫婦間暴力を目撃(面前DV)することで、強制的に支配する。子どもが畏縮してしまう。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/about.html
(児童虐待の定義と現状・厚生労働省ホームページより)

 

●児童虐待対策の基本的な考え方

★子どもの安全確認・安全確保の優先★

1.鳥取県は24時間ルール(国の基準は48時間以内)
→相談であっても通告とみなし、安全確認

2.職権による一時保護
→保護者の同意が得られなくても、子どもの安全を最優先して、職権保護も辞さない

3.出頭要求・立ち入り調査・臨検・捜索制度
→再出頭要求に応じない場合、家庭裁判所に強制的な介入として臨検申し立て

4.要保護児童対策地域協議会
→通告案件に関する必要な調査・支援に際して、個人情報保護法違反にならないよう法的に担保する仕組み

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv11/05-01.html
(要保護児童対策地域協議会について・厚生労働省ホームページより)

子どもの安全を守る責任は、保護者と自治体双方にあり、協力して守らなければならない。
→保護者の虐待加害責任を追及することが目的ではない
→どうすれば、子どもが安全に生活できるかを、保護者と関係者で共通目標にする

 

●「子どもの最善の利益」の優先

親や子どもの意向を全て受け入れるのではなく、「子どもの最善の利益」を検討する。
「最善の利益」とは、子どもにとって生活をし、成長する上で必要なもの。
※できるだけ、保護者・児童本人に説明し、説得する→交渉が原則

 

<事例>

▼福祉司指導(心理的虐待・学校通告)

母子家庭で母親が外国籍。教育熱心で子どもを棒でたたいて教育することに、疑問を持っていない。
背景:夫(日本人)の病死による、日本での生活の不安
対応:家族の協力者全員による、定期的な応援会議の開催。親子が児童相談所へ通所し、心理教育を行う。

▼施設入所(ネグレクト・学校通告)

母親はほとんど帰宅しない。近所に住む母方の祖父母が世話をしているが不潔。体重増加が少ない。
背景:母親は他の男性と交際中。祖父母の年金に頼った生活。
対応:児童は施設入所。母親とは定期面接(施設退所時の態勢作り)と定期施設訪問。

 

◎虐待をどう予防していくか

大原則:『子どもは村の宝。子育ては村の責任。』
子育ては決して効率的にできない最も過酷な作業。だけど人間の最も崇高な作業である。人間は相手との感情の相互作用で形成する。
(自分の感情が相手に反映するから厄介)便利な世の中は、思い通りにならないことに対して怒りやすい世の中でもある。この過酷な作業は、閉鎖的な空間や、不条理経験の少ない母・父だけに任せては疲弊してしまう。
(親だけの関わりでは、子育ては不可能)

 

○虐待通告:児童相談所全国共通ダイヤル『189(いちはやく)』が、今年7月からスタート。

○毎年11月は、「児童虐待防止推進月間」オレンジリボンキャンペーン。

 

●児童相談所からBBSに依頼した時、みなさんが家庭内に入っていただくことは、そこに違う風が入る。それだけでも貴重な存在であり、指導するのではなく、子どもたちの話しを聴くことが変化につながることがあるかもしれません。期待しています。

http://www.pref.tottori.lg.jp/fukushisoudan/
(鳥取県福祉相談センターについて・鳥取県ホームページより)

(その2へつづく)

―――

児童虐待について、地域社会からはなかなか見えない部分。地域において人と人とのつながりが薄く、または見えなくなった今の時代を感じざるを得ませんでした。
現場のお話は緊迫感があり、私たちにできることがあるのだろうかと、途方に暮れそうな気持ちになりましたが、できることはあると信じたいです!
長文になってごめんなさい。うまく要約できませんでした(>_<)

(こやまん)

ChuB_WS1

 

------------------【配信日:2015.08.01】

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