チュウBメルマガ VOL.223-3

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◆◇◆日本更生保護学会第4回大会(その3)◆◇◆

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大会2日目、BBSの大会企画セッション(分科会)

間野先生の発表について-

 

その2でも記しましたが、大会の正式な報告は、日本更生保護学会機関誌『更生保護学研究』で発表されますので、このメルマガはこやまんの感想とします。

 

 

◆間野百子さん(小田原短期大学教授)

 

『非行少年の更生支援における「ともだち活動」の役割 -活動経験者に及ぼす互恵的相乗効果に着目して(中間報告)-』

 

◎調査対象者:「ともだち活動」の経験を有するBBS役員ならびに会員

◎調査時期:2014年12月19日~2015年3月末日

◎配布数226通,回収77通,有効回答率34.1%

 

 

●研究におけるBBS運動の位置づけ

○アメリカのメンタリング運動

・一般市民による困難を抱える青少年の個別・継続的支援

BBBS(Big Brothers Big Sisters)運動(メンタリング運動の起源)

 

○日本のBBS運動

・互恵性(活動が対象少年、会員双方に及ぼす効果)

・非行少年の立ち直りに、一般市民が関わることの意味

・少年の重層的サポート体制(保護観察官,保護司,若者など、世代や立場の異なる人々による相乗効果)構築の意義

 

 

●本調査の目的

・一般市民(BBS会員)が非行少年の立ち直りに個別・継続的に関わることの意味を明らかにする。

・メンタリング(個別・継続的支援)の理論的根拠である、「互恵性」の「恵なることがら」を実証する。

→活動体験が支援者に及ぼした影響(学び・成長)

→活動体験が対象少年に及ぼした影響

・会員経験年数や年代により、参加動機や継続要因に変化が認められるのかを検証する(会員の意識の縦断的調査)→分析中

 

 

▼BBSを始めた動機についての考察

・20代前半90%、そして20代後半~30代85%が積極的。

・40代になると、消極的や受け身が75%。50代以上では53%が積極的で、消極的や受け身が47%と、年代の上昇とともに比率が異なってくる。

・若手会員は大学1年生で入会する率が高く、入学とともに新しい活動(ボランティア活動,ゼミ活動,少年と関わる活動,サークル活動)の一つとしてBBS会に入会する比率が高い。その一方で、40代以上は社会人になってから、最初は義理で入会せざるを得なかったケースが多いが、長く会員を継続している人が多い。

・動機として、非行少年との関わりを求めるニーズが高いことが分かる。

 

 

▼BBSに関心を持った理由

○恩返しタイプ(アメリカのメンタリングにおいて主流)

・人に迷惑をかけてきた

・罪を犯しそうになったことがある

 

○経験を活かすタイプ

・友人に非行少年がいたから

・非行少年支援に関心がある

・友人・少年の社会復帰を見た

 

○非行少年サポートタイプ

・BBS入会後の研修や活動を通して

・授業の影響

・家族・先輩・友人の影響

・教師志望

・中学時代学校が荒れていた

 

 

●【仮説】継続要因×経験年数

・10年未満の会員では、「自分へのメリット」の比率が高い(約7割)

・一方で20年以上の会員の「自分へのメリット」は約4割

→初期段階では、活動を通して自分に対するメリットを感じており、そのことが活動の経験要因となっている。

一方、経験年数が長くなってくると、「自分へのメリット」以上に、「BBS運動」そのものの社会的意味を上げる比率が高くなっている。(5年未満:4%,5~10年未満:20%,20~30年未満:25%,30年以上:30%)

・これらの結果から、長期にわたり活動を継続する要因として、「自分へのメリット」,「少年へのメリット」のみならず、BBS活動を通して、対象少年や若手会員の支援・育成、地域社会への貢献などの比率が高まってきていると言える。

 

 

▼若者が少年支援に関わる上での難しさ、活動を継続する上での支援のあり方

○活動の特殊性から生じる難しさ

・(非行)少年との関わりに難しさ

・少年に対し過度の期待を持たない。また使命感を持たない。

・他の会員とのモチベーション差

・社会的認知度の低さ,立場の弱さ

・活動の制約

・地域差

 

○負担感

・交通費,時間的・物理的制約

 

○社会人にとっての難しさ

・活動への理解(家族・職場)

・学生から社会人になるにあたり、BBS会の移籍の難しさ

 

 

▼活動の特殊性から生じる難しさ

・「ともだち活動」では、困難を抱えている少年に寄り添うため、責任感・使命感の強い会員の精神的・時間的負担につながり得ると伺える。

 

・社会的認知度が高いとは言えないため、活動のモチベーションを維持することが困難なケースがあることも見えてきた。課題として、交通費が自己負担であること、活動内容に関する事務作業が多いこと、少年との関わりがスムーズに運ばない活動を、会員が一人で抱え込んでしまうこと等が挙げられる。

 

・活動を継続できるか否かは、学生会員から社会人会員への移行期が一つの分岐点となっている。なぜなら、学生の時は「学域(大学等を単位とする組織)」に所属し活動しているが、社会人になると所属するBBS会が変わる。時間的・物理的制約が多くなる上に、職場や家族の理解を得ることも難しく、大半は社会人になった際に活動から遠ざかってしまう。

 

 

【日本更生保護学会ホームページ】

http://www.kouseihogogakkai.jp/index.html

 

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パワーポイント75ページ分をこれだけ縮めたこと、申し訳なく思っています。間野先生からの最終報告を楽しみにしています。

 

添付写真は分科会冒頭、日本更生保護学会長の藤本哲也さん(中央大学名誉教授)があいさつに来られた場面です。

学会についての感想は以上です。

(こやまん)

section2

 

------【配信日:2016.01.20

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BBS運動(Big Brothers and Sisters movement)とは、非行少年やいろんな悩みを抱えている子どもたちなどと、兄や姉のように、一緒に学んだり、楽しんだり、少年たちの話しを聴いたりする中で、少年たちの成長をサポート・応援し、さらに非行や犯罪を未然に防ぎ、そして再非行・再犯が起こらない地域社会を目指す『更生保護』に協力している、青年ボランティア運動です。

 

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配信元:中国地方BBS連盟事務局

(事務局:法務省中国地方更生保護委員会内)