チュウBメルマガ VOL.172-1
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◆◇◆中国地方BBS連盟発足60周年記念大会(その1)◆◇◆
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2013年10月26(土)~27日(日)、広島市西区の、西区 更生保護
サポートセンターにおいて、
中国地方BBS連盟発足60周年記念・第59回中国地方BBS大 会を
行いました。

日本BBS連盟から、戸田信久会長そして長谷川正光事務局長,中 国
地方更生保護委員会委員長,中国地方保護司連盟会長,中国地方更 生
保護女性連盟会長他たくさんの来賓の方々にご出席いただき、
中国地方のBBS会員が64名,徳島県,高知県,大分県の会員,
石川県からOGと、県立広島大学の学生さんがBBSについて知り たい
と参加、総勢80名が一堂に会しました。
記念式典のあと、中国地方更生保護委員会 蛯原正敏委員長のご講演
「更生保護の現状と課題」がありました。

東広島地区BBS会 柏原志保さん(かしかし・広島大学3年)からの
報告です。

○はじめに、そもそも『更生保護』とは何かについて-

更生保護は罪を犯してしまった人たちの立ち直りを支援する活動で 、
一度罪を犯した人の再犯を防止することが、よりよい地域社会の実 現を
図るために重要であること。またそのために民と官が協働して地域 全体の
支えが不可欠であること。そしてBBSも、保護司会や更生保護女 性会を
始めとする更生保護の担い手の一団体であることをあらためて学び ました。
●更生保護が掲げる課題と対策として-

①刑務所出所者等の「出番」と「居場所」の確保

②高齢・障害を抱える受刑者の再犯防止と社会復帰支援

③薬物事犯者の再犯防止と社会復帰支援

④保護司の活動基盤の整備

の4つの課題などについてお話がありました。
①『刑務所出所者等の「出番」と「居場所」の確保』について-

約3割の再犯者が約6割の犯罪を引き起こしているという事実
(平成19年版犯罪白書より)が紹介されました。つまり犯罪
認知件数のうち、約6割は過去に罪を犯した人が起こした事件で
あり、そもそも犯罪を減らすには、一度罪を犯した人の再犯を
防止することが非常に重要。そこで大事になるのが、刑務所等を
出た後の「出番=仕事」と「居場所=住むところ」をどう確保
するかです。

まず「出番=仕事」について、無職者は有職者に比べ再犯率が
約4倍高く、一方で保護観察終了者に占める無職者の割合は、
昨今の経済情勢の悪化等により高い割合で推移しており、再犯し
刑務所に再入所した者の約4分の3が再犯時に無職だったという
データ(平成24年版犯罪白書より)があります。すなわち、
刑務所出所者等の就労支援は喫緊の課題であると言え、そのための
対策として、刑務所出所者等の就労支援を総合的・一元的に実施。
また法務省と厚生労働省(刑務所・保護観察所・ハローワーク)
との連携を強化するなど、それらの施策は一定の成果を挙げて
いますが、刑務所出所者等の就労確保は依然として厳しい状況に
あるのが現状。
そこで平成23年度より一部の保護観察所で実施されるように
なったのが「更生保護就労支援モデル事業」(*1)です。これは 、
協力雇用主(*2)等の協力を得て、刑務所などの矯正施設に在所 して
いる段階から支援を始め、就労後の職場定着まで継続的に支援を
行っていくという取り組みで、この秋から広島でも実施される
というお話もありました。

次に「居場所=住むところ」について、刑務所出所後に適当な
帰住先のない者が高い割合(満期出所者の約半数!)でいることや 、
犯罪を繰り返すほど帰住先不明の割合が高くなるという悪循環が
説明されました。その対策として、更生保護施設の活用や自立準備
ホーム(*3)としてアパートを用意するなどの新たな枠組みによ る
住居の確保が進められていることが紹介されました。
②『高齢・障害を抱える受刑者の再犯防止と社会復帰支援』につい て-

高齢の入所受刑者が平成4年頃から年々増加傾向にあり、帰住先が
ないなどの理由で高齢者の仮釈放率が全体と比べ低い水準にある
こと、入所受刑者や少年院入院者のうち精神障害を有する者が少な く
ないことを学びました。
高齢・障害を抱えている受刑者が再犯する原因としては、出所後の
帰住先がない、福祉サービス等を十分に受けられないなど、生活
基盤の確保の困難さがあるとの事。そこで出所後、円滑に福祉
サービスへと繋ぐために、司法(法務省)と福祉(厚生労働省)
が連携した取り組みが行われているそうです。
③『薬物事犯者の再犯防止と社会復帰支援』について-

薬物事犯者は再犯率が高く、薬物事犯だけに留まらず更なる犯罪に
つながる危険性があり、刑務所の中では我慢できたとしても、出所
して自由になると我慢できなくなる事例が多いため再犯者が多く、
薬物事犯者に対して出所後も継続的な対策を行うことが不可欠で
あるということでした。
④『保護司の活動基盤の整備』について-

主にBBSの立場からお話いただきました。BBSに求めることと
して、社会貢献活動(*4)に自発的に関わっていくことによって 社会が
更生保護に前向きな姿勢をつくることができ、その先導をBBSが
担うという気概を持ってほしいということ。
またメンタリング・プログラム(*5)というアメリカのBBBS (Big
Brothers Big Sisters)が発端となった活動にさらに関心をもって
活動の幅を広げてほしいということをお話しいただきました。

 

★感想★ かしかし(報告者)

蛯原委員長のご講演は、なかなか知り得ない更生保護の現状につい ての
知識を得られ、また現職の更生保護に直接関わる機関の方からお話 を
伺う機会は滅多にないことなので、貴重な経験だったと思います。

講演の前半では委員長ご自身の幼少期のご経験に触れられ、委員長 の
親しみやすいお人柄を感じることができました。

私が特に印象的だったのが、約3割の再犯者が約6割の犯罪を起こ して
いるという現状です。再犯防止の重要性をひしひしと感じました。 また
一度出所した人々の就労や居住における課題も学び、それらの課題 を
克服するための新たな対策も打ち出され、広島でも実施されている ことも
知りました。そして、メンタリング・プログラムにも興味を持った ので、
自分で調べてみたいと思います。

BBS会員として更生保護に携わる際に、非行少年と接するのと同 じ
くらい、更生保護についての知識を深めることは大切だと感じてい ます。
今回のように貴重な機会を大切にし、今後も積極的に参加して研さ んを
積みたいと思いました。
(*1)更生保護就労支援モデル事業(法務省ホームページより)
http://www.moj.go.jp/hogo1/sou mu/hogo02_00030.html

(*2)協力雇用主(法務省ホームページより)
http://www.moj.go.jp/hogo1/sou mu/hogo_hogo04.html#08

(*3)更生保護施設,自立準備ホーム(法務省ホームページより )
http://www.moj.go.jp/hogo1/sou mu/hogo_hogo04.html#04

(*4)社会貢献活動(法務省ホームページより)
http://www.moj.go.jp/hogo1/sou mu/hogo02_kouken01.html

(*5)メンタリング・プログラム(Big Brothers Big Sisters of America
ホームページより/English only)
http://www.bbbs.org/site/c.9iI LI3NGKhK6F/b.5968195/k.7035/ Something_for_everyone.htm

-----------------------【配信日:20 13.11.06】
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