チュウBメルマガ VOL.143-3
◆◇◆「青少年育成カレッジ」平成24年度第2回総合講座
~少年非行について考える~◆◇◆

「当事者から学ぶ非行」
『過去と向き合い、今を共に生きる』~真心バトンリレー~
講師:高坂朝人くん(愛知県BBS連盟 南保護区BBS会,
NPO法人セカンドチャンス!副理事長)

なぜ犯罪に走ってしまったか?
今でもはっきりとはわからない。

小学生時代に大きな3つのストレスがあった。
1.何度となく、両親のケンカ(原因は、ギャンブル,酒)

2.友人の家は一軒家で、子ども部屋がある。自分の家はアパート 2DK
暮らし。不満に感じた。また、他の同級生より貧乏なのでは、劣っ て
いるのではと、中学年の頃から思う様になった。

3.小学2年生から、サッカークラブに入っていた。高学年になる と、
試合に勝つための結果を求められる様になり、チーム内で一番下手 で、
罵声を浴びた。試合中、自分の所にボールが来ない様、祈っていた 。
自分の辛いことは人には見せてはいけないと思い、自分の心の中に
押し込んでいった。自分から「サッカーをやめたい」とは言えず、
足を折ろうとしたこともある。

<非行へ>
中学1年1学期の中間試験。
勉強して試験に臨んだが、点数が60点くらいだった。他の子を見 ると
80点くらい。自分は脳が悪いんだと思い、勉強は諦め、野球をす る
ことにした。しかしそこでも自分の力は他の人に比べてダメだと思 った。
勉強もスポーツもダメ。その後お菓子やゲーム機をわざと学校へ持 って
行きはじめた。先生に叱られた。とても怖かったけど反抗したら、
一部の友だちから「スゴイじゃん」と言われ、とてもうれしかった 。
不良で生きて行くとその時決めた。

髪を染めていたら、暴走族に誘われ、入った。(14歳のとき)
初めて罪を犯す時はとても怖かったが、何回も繰り返すうちにマヒ して
いき、自分の行動を肯定する様になった。

16歳、家庭裁判所・少年審判で、初めて少年院送致の審判を受け た。
その時、恐ろしくどうしていいかわからず泣いてしまった。
現在わかることは、当時の親の気持ちと、被害者の怖かった気持ち です。

17歳の時に、約10チームの暴走族連合の総長になった。

少年院で当時思っていたのは、逮捕されるきっかけとなった罪を犯 して
逃げる時、自分の財布を落としてしまい、身元が明らかになって
しまったこと。「どうして財布を落としてしまったんだ!」と悔や んで
いた。罪に対する反省はなかった。

不良になっても母親の面会、手紙、差し入れがあった。母に対し感 謝の
気持ちを持った。
母からの手紙に癌になったと書いてあった。もう母に会えないと思 い、
3日間泣き続けた。その時、「母親を世界一幸せにする」と決めた 。
と同時に少年院を出たら暴走族に戻ろうとも決めた。(当時本気で
そう思った。理解していただけないと思うが。)

当時の彼女(今の妻)が妊娠して6ヵ月の時、やくざに関わってい ると、
自分の子どもを生まれながら不幸にしてしまうとわかった。
だからやくざから逃げる(広島から見知らぬ土地、名古屋へ)と
決めた。やくざから逃げることは、その世界では恥だが、自分にと って
歳代の勇気だった。(24歳の時)

名古屋に来て5年、決して順調とは言えないが、犯罪の道へ誘われ たら
断っている。再犯していない理由は、「非行少年はダイヤモンド原 石」
とセカンドチャンス!の仲間からおしえてもらったことだ。

セカンドチャンス!やBBSを通して、罪を犯した少年たちと、
一対一で話すと、普通で純粋、不器用だと感じている。立ち直る子 も
いれば、再犯してしまう子もいる。
非行少年たちは、とんでもないことをやっているけど、「前を向こ う」
としていると思う。

両親はとてもかわいがってくれた。自分が何度悪い事をしても、母 親は
見捨てなかった。両親に愛されていたから、自分も子どもを不幸に する
ことはできない。

18歳、少年審判の時の弁護士がつながり続けてくれたこと、自分 の
ために泣いてまで裁判官に訴えてくれた家庭裁判所調査官、保護司 さん、
警察官、いろんな人との関わりがあり、立ち直りができたと思う。

【質疑応答】
・当事者の立ち直ろうとするタイミングで、相談できる相手がいる か
どうか、重要だと思う。
・暴走族と暴力団とのつながりは、離れにくい仕組みになっている 。
・たまには頑張っている時があった。その時は自分を認めてほしか った。

【セカンドチャンス!】について
まっとうに生きたい少年院出院者の全国ネットワークです。
支援者、利用者という関係ではなく、あくまで対等で、上下関係な く、
しがらみや不良文化を持ち込ません。
悪ぶらなくてもいい、かといって真面目ぶらなくてもいい、ありの まま
の自分を出していけるような新たなつながりを築いていきます。
★感想★
東広島地区BBS会 吉本菜美さん(広島大学1年)

今回の青少年育成カレッジに参加したのは、私が障害を持つ子ども や
非行少年に関わる機会が増えたため、少しでも知識を深めることが
できたらいいと思ったからでした。
作業療法士の永吉さんのお話を聞いて、障害の有無にか関わらず本 人の
個性・性質として理解し、その人に合わせた支援が必要であり、
追いつめないように対応しなければならないと感じました。
また、非行経験者である高坂さんのお話からも、非行少年に関わり 続けて
連絡を取り続けた周りの人たちからの支援が一番の支えとなってい ると
おっしゃっていたので、私もボランティア活動をこれからもできる だけ
長く続けていきたいと、自分の気持ちを再確認することができまし た。
発達障害・少年非行について知る良い機会になりました。

------------------------【配信日:2 012.12.11】
◎BBS会員、その他関係者のみなさんへ
チュウBメルマガは、中国地方のBBS活動を中心に、
BBS(Big Brothers and Sisters Movement)についての情報を
みなさんにお伝えするツールです。
お時間のある時に、ご覧いただければ幸いです。

BBS活動等については、日本BBS連盟ホームページを。
http://www2.ocn.ne.jp/~bbsjapa n/katsudo/katsudo.html

BBBS (Big Brothers Big Sisters) About, BBBS International Homepage.
http://www.bbbsi.org/